鮎の特徴と、串焼きにする理由

どんな魚か

鮎は、北海道の天塩川より南の日本各地の河川や朝鮮半島、中国の河川に生息し、成魚になると川で暮らすようになる川魚です。サケ目(キュウリウオ目)アユ科の魚で、成魚の背中が黄色みの帯びた黒色をしているのが特徴。どんなエサを食べて育ったかで鮎の匂いが変わるので、育った河川によって異なる匂いがします。一般的に知られている鮎は、オオアユと呼ばれる種類で、河川で産まれた稚魚は海へ下って成長し、水温が上がる夏前に川を遡上して縄張りを作ります。鮎の産卵は秋なので、冬の寒さを乗り越えて生き抜くために、川よりも水温が安定している上に、プランクトンなどのエサが豊富にある海へ向かってそこで成長するのです。オオアユの他の種類としては、琵琶湖固有のコアユ、小柄で沖縄にだけ生息するリュウキュウアユがあります。

旬はいつか

天然の鮎は6月に漁が解禁となるので、6月から食べることができますが、一番おいしく食べることができるのは7月にとれた鮎です。7月の天然の鮎は、塩焼きなどにして頭から骨までまるごとおいしく食べることができるので、初夏の風物詩として楽しみにしている人も多いでしょう。天然の鮎のほかに養殖で育ったものがあります。名産地は愛知と岐阜で、養殖の鮎は動物性のエサを食べて育つため、脂ノリがいいと言われています。取り寄せて天然鮎との味の違いを楽しむのもおすすめです。

なぜ串焼きにするのか

夏に清流に行くと、鮎の塩焼きが売られているのを見かけますが、必ずと言っていいほど串焼きになっています。その理由は、海魚と比べて川魚である鮎は身に含まれている水分が多いので、串にさし口を下に向けて焼くことで余分な水分が抜け落ちて、ふっくらと焼き上がるため。七輪などを使って自分で鮎を焼く時は、最初に串を立ててから焼いた後に、1匹ずつ平らにして焼き目をつけると身がしまって串のまま食べることができます。焦げやすいヒレの部分にたっぷりと化粧塩をするのを忘れずに。