鮎の養殖、天然との違い

養殖について

全国的に6月頃に天然の鮎が解禁となりますが、それ以外では養殖の鮎が市場に出回っています。養殖鮎は天然ものと比べ、栄養価が非常に高く、脂が乗っています。鮎の養殖は、明治42年(1909年)に、琵琶湖のコアユにエサを与えて大きく育てたことが発祥と言われています。これに続いて各地の水産試験場が琵琶湖産の稚鮎や海産稚鮎を用いた養殖の試験を行ったことから、今に続く養殖市場が出来上がってきました。高度経済成長の波に乗り、養殖の生産量は急激に増えていくことになります。これにあわせて養殖地もポンプなどで川のような水流を作り出したり、水やエサも良質となり、栄養価や品質が高く美味しい養殖鮎が市場に出回るようになりました。養殖地によっては天然鮎が美味しい河川の水を引いてきたり、地下深くの井戸水を使用していることもあります。いずれの場合もその地域の水をたくさん使い、大切に育ててきた鮎は絶品です。

天然と養殖の見分け方は、まずは色の違う箇所があります。養殖の場合は全体を通して青白さだけですが、天然の場合は胸元やヒレに黄色があります。他に、養殖は顔が丸いのに対し、天然は少し面長です。これは水中で硬い石の表面にあるコケなどをそぎ取って食べる天然鮎に対し、養殖は細かな食べやすいエサを食べているので、あごの発達が少ないことが要因です。また、背ビレが長くて大きなものは天然です。これは自然の水流の中で力いっぱい泳いで発育しているからです。またにおいにも特徴があります、天然鮎は自然界のコケや藻を食べているのでそれだけ独特なにおいを持っています。また、稚魚を養殖で育てた後に、自然の川へ放流することもあります。これを「半天然」と呼ぶこともありますが、多くは釣り用に放流すると言われています。最後にオスメスの見分け方は次の通りです。代表的なのは尾びれの違いです。オスは尾びれが小さめ直線型で、メスは大きく丸みを帯びて三角状に発達します。特に産卵期が近づくとこの違いは顕著にあらわれます。