鮎は日本だけではなく、朝鮮半島や中国南部、ベトナム北部まで東アジア一帯に生息している川魚です。清流の女王という異名で呼ばれるだけありきれいな水を好みますが、実は一生の半分を海で過ごします。ところが琵琶湖には例外的に海へ下らずに一生を終える鮎がいます。
琵琶湖の鮎
鮎は海と川を行き来する回遊魚なので、鮭のように川で産卵し、孵化したら海へ下り冬を越し、春になると川を上っていきます。川の中流から上流で過ごし十分に成長した鮎は、下流まで下って産卵します。産卵すると鮎は短い一生を終えます。これが通常の鮎の生態で、海産と呼ばれます。
琵琶湖の鮎は海と行き来しないため湖産、湖鮎(こあゆ)と呼ばれます。8月下旬から10月頃にかけて産卵した鮎は、冬の間を琵琶湖の少し深い所で過ごし、春になると琵琶湖に流入している川を遡上(そじょう)します。琵琶湖の鮎は海では生きることができません。その一生を琵琶湖で終えます。なかには春になっても川を遡上しない鮎もいます。川を遡上しない鮎は琵琶湖で成長し、秋になると産卵するために川を遡上します。湖産鮎は小型ですが川へ放流すると、海産鮎と同じように大きくなることが分かり、琵琶湖の稚魚を各地の川へ放流されるようになりました。ですが、近年の研究で湖産と海産の鮎は遺伝的にハッキリ異なることが分かりました。琵琶湖の鮎が、川にもともと生息している鮎と交配すると、その稚魚も海で生きられなくなることが分かり、海産鮎が激減するのではないかと心配されています。
海産と湖産の見分け方
海産の鮎は胴体が比較的細くて、背の中央は黒から褐色をしています。湖産の鮎は海産と比べると頭が比較的小さく扁平で、体高があります。背の中央はほぼ黒です。ウロコが小さいのも特徴です。ウロコの枚数で見分ける方法もあると言いますが、専門家でないとなかなか見分けるのは難しいでしょう。友釣りのベテランともなると、どの川の鮎かまで言い当てることができるようです。